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相本芳彦さんに気づかされたこと

1989年、学校祭の座談会企画で北日本放送の名物アナウンサーだった相本芳彦さんに来ていただいたことがありました。
相本さんが今度の衆議院議員選挙に出馬したことでその時のことを思い出したので書き記してみます。いまどきの若者についてというようなトークテーマだったと記憶しています。

そのとき相本さんが学校祭に呼ばれたということにちなんでこんな様なことを言ったのを覚えています。

   相本さんが高校生のとき学校祭で政治をテーマとした展示を行った。
   怖いもの知らずでその当時総理大臣だった田中角栄にアンケートの手紙を送った。
   忙しそうな時期だったので返信があると思わなかった。
   飛行機の機中で書かれた直筆の手紙が返ってきた。
   手紙の内容に感動した。
   私は今でも田中角栄が悪い人だと思えない。

田中角栄がなぜ忙しかったのか、どういう内容の手紙をもらったのかは残念ながら忘れてしまいました。

その頃の新聞やテレビでは田中角栄は悪人だ、金権政治の元凶だという報道で埋め尽くされていました。そういう報道が10年以上にもわたって続けられてきた時代でした。
その影響なんでしょうけど、自分としては"田中角栄は悪い人"というのは鉄板の常識になっていました。
その常識をテレビでニュースを読んでいることもある人が、たいした根拠じゃないとはいえ否定して見せたことはすごく意外な出来事として記憶に残りました。

今となれば田中角栄は単純に非難されるべき人物でもないと、いろいろな角度からの検証を目にすることができます。政治の主導権を選挙の洗礼を受けない公務員から政治家に移したのは田中角栄だからこそなしえたことでしょう。東大法学部閥の官僚と官僚出身の政治家に牛耳られていた政治に一区切りをつけた中卒の党人政治家だったわけです。今回の選挙で民主党が掲げる5原則の1番目を40年前に実現しようと戦った先達だったと見ることもできます。

相本さんに気付かされる前も、理屈で事実かどうか見当がつく科学報道については新聞やテレビが結構いい加減なことを言っているということくらいは分かっていたのですが、それはきっと報道関係者がみんな文系だからだろうと思っていました。
毎日主要な題材として扱っている政治の分野についてはこの人たちは専門だろうからと、最初から疑うことすら放棄していたわけです。
そこを疑ってみるきっかけを与えてくれたのが相本さんでした。

それから20年経ち、新聞やテレビは眉に唾をつけて見なければいけないということは常識になってきました。
いま、田中角栄のような目にあっているのは分かりやすいところでは麻生総理でしょう。漢字の読み間違いだとか、通っているバーが高級だとか、どうでもいいことで総理大臣の資格がないように非難されています。そういうノイズを取り除いて麻生総理の評価をするのがすごく面倒くさい状況です。

相本さん自身も、退職した北日本放送からできる限りニュースで取り上げないようにされるなど、その洗礼を受け始めています。

投票する者としては報道を正しく読み取って判断をしなければならない、とは思うのですけれど、まあ難しいものです。

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