2010/07/29

氷見、高岡を舞台としたライトノベル「ピーチガーデン」

最近知ったのですが、青田八葉さんという氷見市在住の小説家が2009年の末に「ピーチガーデン」というライトノベルで角川スニーカー文庫からデビューしています。富山県出身の小説家は何人もあげることができますが、たいていは東京など県外で仕事をしており、県内にとどまって執筆活動を続けているというのはかなり珍しいのではないでしょうか。

しかし、県内で活動して郷土愛を感じさせる作品を発表しているにもかかわらず、氷見の明文堂書店や高岡の文苑堂書店ですら特別扱いは受けられていません。ラノベの新刊は大量に発行されるので仕方ないのかもしれませんが、在庫があったとしても棚の一等地には置いてもらえていなくてちょっとかわいそうな気分になってきます。これまで発表されたのは「ピーチガーデン」シリーズ全3巻で、6月に発行された3巻目で完結しています。このシリーズは富山県呉西の人なら間違いなく楽しめると思います。特にかつて越中中川を高校通学に使っていた人や、氷見高校を卒業した人におすすめします。

ラノベとしての出来は、私も論じられるほど数を読んだことがないのですが、第14回スニーカー大賞優秀賞が保証してくれるはずです#1 #2。

富山県民としてまず嬉しい点は、舞台として非常にリアルな氷見、高岡が描かれているということです。大都市や有名観光地なら「新宿鮫」や「池袋ウエストゲートパーク」など自分のよく知る街で繰り広げられる、地域密着型の奇妙な物語を楽しむことが簡単にできますが、地方ではなかなかそういう機会がありません。高岡で有名な木崎さと子さんの「青桐」にしても、高岡駅からタクシーで10分ほどの田園地帯らしいので、野村とか長慶寺のあたりを想像して読んではみますが細かな描写はなく、物足りなさが残ります#3。その点描写の多い「ピーチガーデン」なら、そんなところでキスしていたら生徒や一般教員からは見えないだろうが校長室から丸見えだろうとか、三人目のヒロインの家は東下関かな?みたいな補完をしながら読めたりします。

もうひとつ面白い点は、登場人物が地元の人が「氷見の人ってこうだよね」と思っているであろう性格になっていることです。主人公のロックな兄貴がその典型でしょうか。近年の氷見を舞台とした漫画には原秀則さんの「ほしのふるまち」もあり、これは風景や方言の描写は素晴らしいのですが、登場人物が氷見じゃなくても日本の田舎ならどこでも合ってしまいそうな性格付けになっています#4。一方「ピーチガーデン」なら強引で暴力的、田舎のくせして高岡よりおしゃれな感じのキャラクターが動きまわってくれます。

富山県呉西の方はぜひお試しを。射水市、小矢部市も出てきます。




#1 リアルな舞台に反して”呪詛”とか”天の羽衣”とか非現実的な世界設定が存在するので、最後に"へんてこな世界設定は嘘でした"みたいな興ざめなどんでん返しがあるんじゃないかと疑って読んでしまいましたが、そんな心配は無用でした。
 #2 ラノベ特有のとっつきにくさは持っていますが出来れば目を瞑るべきです。例えば「……なのだ」みたいないじくらしい(うざい)語尾を付ける人物が出てきますが、ちゃんと本当にいじくらしい奴になっているなど、うまい具合にできているところもあります。
 #3 うろ覚えでは木崎さと子さんは旧富山大学工学部内の官舎に住んでいらっしゃったと思うのですが、その跡地が「ピーチガーデン」の舞台の一つ高岡高校になっています。
 #4  原秀則さんのほうが客観的に取材していてリアルに近い可能性はありますが、地元民の偏見では青田八葉さんのほうがしっくりきます。
 

2010/07/25

富山県が全国首位という地デジ普及率に疑念を抱いて調べてみた

昨日、地上デジタルテレビ放送への完全移行まであと1年になりました。今年3月現在の地デジ普及率は83.8%まで高まってきており、その中でもここ富山県の地デジ普及率は全国首位の88.8%なのだと総務省は発表(PDF)しています。

数値を見ている限りではあと1年で十分対応が可能に見えてきますが、富山県高岡市に住んでいると、この高い普及率に疑念を抱かずに入られません。
というのも、高岡市は市内の二上山にある中継所が地デジ化を機に廃止になる予定で、屋根の上のアンテナの向きを見れば地デジ化対応が済んでいるかどうか大体分かるのです。最近急速に対応が進んできているようには感じますが、確実に地デジ化対応を済ませている住宅は全体の1/4程度に過ぎません。約半数の世帯は廃止予定の二上中継局にアンテナを向けており、これらの住宅はほぼ確実に地デジ対応していません。

気になるので、今週末簡単に調査をしてみました。
高岡市中心部の下記の地図の赤線の道路を3kmほど歩き、この道路の南側で眼に入るアンテナを数えます。サンプル数は105です。

より大きな地図で アンテナの向き調査地点 を表示
集合住宅も商業施設も1本と数えています。
アンテナの向きによる見分け方は以下のとおりです。

1. 地上デジタル放送に対応済み
    今後推奨される呉羽山送信所に向けてUHFアンテナが1本
    呉羽山送信所と廃止予定の二上中継局に向けてUHFアンテナが1本づつ。地デジ未対応のテレビも併用していると思われます。

3. どちらか判別できない
    呉羽山送信所に向けてVHFアンテナとUHFアンテナが1本ずつ。二上中継局の出来る前の古目の住宅に多い構成です。このままで地デジを受信できます。
    福光中継局に向けてUHFアンテナが1本。地デジ化済みの中継局で、呉羽からの電波が受信しづらい場合の選択肢として指定されています。

2. 地上デジタル放送に対応していない
    廃止予定の二上中継局に向けてUHFアンテナが1本。アンテナが1本で済むこともあり、新しい住宅は大抵この構成です。アンテナの向きを120度ほど回せば地デジも受信できるはずです。

結果は下記のグラフのとおりです。

アンテナの状況度数対応状況比率
呉羽山UHF18対応済23%
呉羽山UHF, 二上山UHF併設6
呉羽山VHF, UHF併設23判別不能24%
福光UHF2
二上山UHF56未対応53%

今回の調査結果から見た地デジ普及率は、どんなに高くても47%で、総務省の出した88.8%という数値が全く信じられなくなります。
今回の方法ではケーブルテレビが抜け落ちる欠点がありますが、加入率は15%前後でしょうから大勢に影響はないはずです。
総務省調査における富山県内のサンプル数は205と、正確な調査と言えるほど多くないのですが、それにしても違いすぎます。
総務省がサバを読んでいるとも思いませんが、郵送調査に協力するようなマメな人は地デジ機器買い換えに対してもマメに対応しているのかもしれません。

おそらくは1年後に結構な数の人がテレビを見られなくなることになるのでしょう。各テレビ局の激しい周知活動にもかかわらず普及が進んでいないのは、多くの人がテレビはもう見れなくてもいいやと意図的に選択しているようにも思えます。これがネットをはじめ他の新しいメディアの活性化につなげることが出来れば素晴らしいのですが、どうなるでしょう?